コモンだより

みどり
 

徳島大学の皆さんと、今年度も池と草で協働しました!

大埜地の集合住宅(大埜地住宅+鮎喰川コモン)では、合併浄化槽+水質浄化池の2段階で排水を浄化して、よりきれいな水を鮎喰川へ放流する仕組みとしています。水質浄化池の維持管理を試行する中で、徳島大学の山中亮一研究室・森田椋也研究室の皆さんに協力してもらって今年で4年目。そこから派生して、選択除草について研究・実践してくれる学生さんも増えてきました。

今年は3人の学生が卒論・修論で、1チームがプロジェクト演習の一環として関わってくれました。例年は池のほとりでポスターセッションを開催したりもしていましたが、今年はその成果をWeb上で報告させていただきます。

 

一人目は、水質浄化チームの山本来実さん(徳島大学・山中研究室)。今の池の状態ではウキクサが表面を覆い尽くしてしまい水質浄化がうまくいっていない、ということが過去の先輩たちの研究でわかってきました。それを受けて山本さんが卒論で注目したのは、池に生えている「ガマ」の水質改善効果。1年を通して、ガマの生育変化を観察したり、水耕栽培の可能性について検討したり。その結果、4〜10月のガマの生長期に合わせて、ガマを用いた浄化筏を作成・池に浮かべる提案をまとめてくれました。山本さんはこの春、修士課程に進学予定で、卒論で提案したことを実際に試行してみたい、とのこと。とっても楽しみです。

(山本さんの卒論発表資料より)

(池のほとりで作業中の山本さん(写真左))

(山本さんの卒論発表資料より)

 

<番外編>6月頃、神山まるごと高専1年生の松尾怜旺くんが、徳島大学の皆さんとの池での実験に関わりたいと連絡をくれました。松尾くんは中学生の頃から水中ドローンの開発に興味を持っていたとのこと。授業の合間に顔を出して、自分で試作した実験器具を持ってきて池に浮かべてみたり、先生方と意見交換をしてみたり。こちらのコラボも来年度も続いていきそう?

二人目は、選択除草チームの福家春輝くん(徳島大学・森田研究室4年生)。「選択除草」を未経験者・初心者に知ってもらうためには、わかりやすい動画があると良いのではないか?という仮説をたて、自らも選択除草を実践して学びながら、紹介動画を作ってくれました。つくった動画をいろんな人に見てもらってフィードバックをもらったところ、未経験者・初心者にとっては「選択除草の具体的な方法や利点を十分に理解できていない」「除草作業に時間と労力がかかるという先入観がある」ことが実践の壁となっていると分かったそう。

(池のほとりで選択除草中の福家くん)

(福家くんの卒論発表資料より、動画を見たコメントを分類・分析)





 

(福家くんが作成した普及動画)

 

3人目は、同じく選択除草チームの丸田康平くん(徳島大学・森田研究室修士2年生)。他地域の事例も調査しながら、大埜地の集合住宅で今後も継続的に緑の手入れが進められるよう、課題への対応策を検討・提案してくれました。参考事例として調査させていただいたのは、味の素スタジアムのみどりの広場(東京都調布市)や、シモキタ園藝部(東京都世田谷区)、ほっちのロッヂ(長野県軽井沢町)。どの事例も、大埜地の集合住宅のランドスケープデザイナーである田瀬理夫さんが直接・間接的に関わって「選択除草」と同じようなコンセプトの元で緑の手入れをしてきた場所です。各事例の活動の変遷を整理し、課題と工夫を抽出する中で、特に要となる要素を ①担い手の発掘・確保 ②定期的/日常的に参加できる活動 ③担い手育成のための取り組み ④背中を押すサポート の4つにまとめてくれました。

(大埜地の集合住宅で作業中の丸田くん(写真左))

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(ほっちのロッヂの敷地を見学中の丸田くん(写真右))

(丸田くんの修論発表資料より、共有緑地空間を継続して維持管理するためのモデル図)

そして最後にご紹介するのが、プロジェクト演習チームの岡部くん、小山くん、大内さん(徳島大学・森田研究室3年生)の取り組みです。このチームが着目したのは「周囲の緑を趣味・楽しみの材料として活用する視点を提供したら、身近な緑地が適度に手入れされるようになるのでは?」ということ。実際に選択除草の作業に参加しながら企画をまとめ、鮎喰川コモンで「葛を使ったモノづくり体験」を実施してくれました。事後のアンケートでは、今後も身近な緑を使ってモノづくりを行いたいと思ったと全員が回答。もっと上手に編めるようになりたい、他の植物の使い方も知りたい、などの声もあったそう。

(鮎喰川コモンでイベント開催中の様子)

(葛でカゴを編んでいる様子)

(編んだカゴをリュックサックのように仕立てて背負った子も!)

 

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以上、徳島大学の皆さんと今年度のコラボ結果のご報告でした。来年度も徳島大学の皆さんは神山町に通ってきてくれるそうです。水質浄化や選択除草の研究・活動に関心のある方は、ぜひご一緒に!!

 

*これまでの取り組みにも関心がある方は
 ぜひ以下のリンクから各レポートをご覧ください

 2021年度のキックオフ 

 2022年度のポスターセッション

 2022年度の報告

 2023年度のポスターセッション 

投稿日
  • 2025.03.03
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