コモンだより

みどり
 

今年の集合住宅×大学コラボの成果!

4年にわたる大埜地の集合住宅の開発工事が2021年春に完了して早2年。
完成したとはいえ、まだまだ試行錯誤を重ねていることも多い。
と同時に「最近なんとなくいい感じ」「いろんなこと起こったよね」と
感じることも増えてきた。ただ、それらをきちんと記録・言語化して
発信するところまでは、なかなか手が回らず。

そんな中、今年度は3人の学生(&研究室)が
私たちの試行錯誤の一部をじっくりと記録・分析し、
論文としてまとめてくれました!

調査期間だけでなく、論文完成後に3人とも、わざわざ来町して
報告してくれたのが嬉しかったので、この記事を書くことに。

1つ目は、東京都市大学の川村佳恵さんによる
「多様な利用を促すコミュニティスペースの設計・運用手法に関する研究
 ~徳島県神山町「鮎喰川コモン」の縁側性に着目して~」

もともと大埜地の集合住宅の開発が始まった当初から
数年来共同研究を重ねてきた坂倉杏介先生の、研究室の学生さん。

先生と一緒に神山を訪問し、鮎喰川コモンに滞在する中で
「鮎喰川コモンでは日々様々な住民の方が来て、様々な活動をしている!
 それはなぜ?『縁側性』に着目したら明らかにできるかも?」
と神山/鮎喰川コモンにがっつり数週間単位で滞在しながら、
スタッフや利用者の方々に丁寧にインタビューを重ねていました。

結果として、彼女がまとめてくれたのはこちら。



日々の業務に取り組んでいると、うまくいかない部分をなんとかしなきゃ、
と一生懸命になってしまいますが、よい部分を再認識できる機会となりました。

鮎喰川コモンのスタッフミーティングにて
報告を聞いたときの様子。みんな、いろいろ思い出して感涙。

2つ目は、徳島大学の小川翔くんによる
「水質浄化池の環境特性と維持管理方針について」

敷地内に設けた水質浄化池の浄化力や手入れの仕方の今後について
徳島大学の山中亮一先生に相談したのがきっかけで、
2022年は毎月、研究室の学生さんたちを連れて、
池の水質と生態系の調査を重ねてきました。
その中心になったのが卒研として取り組む小川くん。

結果、前から気になっていた浮草の影響が池の水質に大きく影響していることが明らかに。
池の表面を覆い尽くすように浮草が繁殖することで、池内に光が入らず、
一次生産による酸素供給を抑制、貧酸素状態になっていました。

また栄養分が多いからなのか、一般的なアオウキクサの生態とは違い、
水質浄化池では、冬になってもなかなか休眠・消失しないよう。
何度かアオウキクサを一掃するチャレンジもしてくれて、
水面の見える面積がこれまでで一番長かったかも。
こうした環境特性に基づく維持管理方針の検討はまだ着手したばかり。
後輩に引き継がれ、今年も月1で池のほとりでワイワイやる予定です。
興味のある方は(基本は平日ですが)ぜひ覗きにきてください。

下の写真は、小川くんが後輩への引き継ぎも兼ねて
最後に参加した調査のときに、コモンハウスで報告してくれた時の様子。

さて3つ目は、慶應義塾大学の社会人大学院生・鈴木俊介さんによる
「住宅地の緑地維持管理と住民の共同体意識に関する研究
 ー徳島県神山町「大埜地の集合住宅」を対象としてー」

鈴木さんが所属する石川初先生の研究室も神山との関わりは長いですが、
大埜地の集合住宅の研究をご一緒するのはこれが初めて。
「賃貸住宅の住民により」しかも「選択除草」という手法で
緑地の維持管理するってどういう感じなの?というのが、
気になって取り組み始めたのが本音だそう。

調査の結果、鈴木さん自身も選択除草の多義性や魅力に取り憑かれ、
この概念がもっと世間に広まったらいいのに、と熱く語ってくれました。

論文の中では、選択除草の方法や良さを分かりやすく
スケッチで図示してくれました。

 

入居者の皆さんはインタビューでこんなことを語ってくれたよう。
(エッセンスをプレゼンより抜粋引用)

選択除草は、短期的には多様なモチベーションを引き出すものの、
習得するには時間がかかる。中期・長期的なモチベーションに
つながるような仕掛け(定点観測撮影など)を取り入れると良いのでは?
と提案してくれました。

私にとってライフワークになりつつある選択除草。
これを機に、もっと広まるような工夫を考えてみたいです。

鈴木さんは、大埜地住宅の入居者ミーティングの番外編で報告してくれました。

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以上、今年の大学との楽しいコラボ結果のご報告でした。

今後も引き続き、共鳴する部分を持つ研究者の皆さんとの出会いを大切に、
神山町の&つなプロの取り組みの魅力を明らかにしていきたいと思います。

 
神山つなぐ公社 高田友美
投稿日
  • 2023.03.29
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